今月の言葉(2018年1月)
※「今月の言葉」は、山門(A)と通用門(B)の各掲示板に毎月初めに掲示します。
(山門脇の「言葉」は、真宗教団連合発行の「法語カレンダー」より)
※恥ずかしながら、住職が揮毫した「言葉」を掲示しています。
今月の言葉(A)
「帰命ともうすは 如来の勅命に したがうこころなり」
(親鸞聖人作『尊号真像銘文』より)
※『尊号真像銘文』・・・親鸞聖人がその当時に本尊として安置された名号や祖師の
絵像の讃文を解説されたもの。
※帰命・・・梵語ナマスの意訳。音訳は南無。心から信じ敬うという意味。浄土真宗では、本願に帰せよとの阿弥陀仏の勅命の意とする。
今月の言葉(B)
「おやのゆいごん なむあみだぶつ」 (浅原才市師)
明治27年、妙好人の浅原才市(あさはらさいち 下記参照)さんは45歳のとき、82歳のお父様を亡くされました。お父様は「お念仏(南無阿弥陀仏)」という財産を息子に残しました。そして、息子にとって「お念仏」は親の遺言として心に深くしみ入り、その後の人生を生きる土台になりました。
「母さん、この保険なら子どもたちに少しは(財産を…編注)残せるんじゃないかな」という保険のテレビCMが流れます。子を思う親の率直な気持ちには違いないと思います。しかし、形ある財産も大切でしょうが、息子のこれからのきっと長い人生に、もっと重要な残すべき財産、形のない財産があるような気がします。
「姥捨て山」の話でも、息子に背負われた老婆は道すがら、小枝を折って帰り道の目印を示してやりました。
<妙好人とは>
妙好人[みょうこうにん]とは、念仏者をほめ称えていう語。好人、上上人、希有人、最勝人ともいう。特に浄土真宗の在俗の篤信者を指すことが多い。仏教(禅)を海外に広めた著名な仏教者鈴木大拙氏に取り上げられて広く知られるようになった。
因幡(岡山県)の源左、讃岐(香川県)の庄松、六連島(山口県)のお軽、三河(愛知県)のお園、といった人たちが古くから有名である。
石見(島根県)の浅原才市さんもその中の一人。年を取って船大工から下駄屋に変わったそうだが、下駄作りで鉋[かんな]を挽き、その鉋屑に自分を見つめ、阿弥陀様を讃える言葉や詩を書き留めた。それが前述の鈴木大拙氏の目に留まり、世界的に紹介されるのだが、平仮名ばかり、あるいはやっと読めるほどの当て字だらけで綴られたものであった。