風人自在・日々燦々
《風人自在 日々燦々 ふうじんじざい ひびさんさん》
「風人自在 日々燦々」(油彩 152㎝×277㎝ 2011年)は、壁画作家としても活躍中の著名作家田村能里子先生の作品。先生のご実家が当寺のお檀家というご縁から、現住職就任時に先生に作品制作を依頼し、掲げる予定の本堂玄関を何回も下見していただいた上で描いていただきました。
田村先生の作品は名古屋市内では他に、「そよ風のロンド」(名古屋JRセントラルタワーズ)、「そよ風の五重奏」(八事・名古屋第二赤十字病院)、「季の嵐」(池下・古川美術館為三郎記念館)があります。
「風人自在 日々燦々」(油彩 152㎝×277㎝ 2011年)は、壁画作家としても活躍中の著名作家田村能里子先生の作品。先生のご実家が当寺のお檀家というご縁から、現住職就任時に先生に作品制作を依頼し、掲げる予定の本堂玄関を何回も下見していただいた上で描いていただきました。
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「風人自在 日々燦々」 |
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本堂玄関(本堂は2階 格子戸はホール入口) |
《絵画「風人自在 日々燦々」に寄せて》 画人 田村 能里子
このたびご縁をいただいて、お寺に私の描いた絵を入れさせていただくことになりました。縁起といってはちょっと大げさですが、作者がどんな気持ちでこの絵を描いたのか、この機会にちらりとお話し、観ていただく皆様との間に温かく豊かな対話の時間が流れていけば、と願っております。
今から25年前、私は日本の文化庁から初めての在外研修員として中国に派遣留学されました。その研修の締めくくりとして、西安からシルクロードを辿り、西の辺境までひとりで数か月の旅にでました。旅にでるまで、私の年来のモチーフは「アジアのひとのかたち」であり、おもに女性の姿や群像を描いていました。西の果てのカシュガルという小さな街はずれで、私が出会ったのは、西域の美女ならぬ「老いゆくひとびと」のかたちでした。砂風の中で悠然として憩っている老いた人の姿に、なんとも美しい残照の輝きのようなものを感じたのです。数千年にわたる中央アジアの民族の興亡のなかで、営々と命を継がれてきた人々が、砂と風の中で生き、そして老木のように自然に朽ちていく素朴なすがた。自然のままに自在に風のように生き、穏やかに老いていくひとに思わず「巡礼」ということばが浮かびました。そして自分も悠久の時間の巡礼なのだと。
この旅をきっかけに、西域の老人は私のモチーフに新たに加わり、シルクロードへの旅はその後もつづいています。巡礼の中でも美しい巡礼に会いに行くために。
このたびご縁をいただいて、お寺に私の描いた絵を入れさせていただくことになりました。縁起といってはちょっと大げさですが、作者がどんな気持ちでこの絵を描いたのか、この機会にちらりとお話し、観ていただく皆様との間に温かく豊かな対話の時間が流れていけば、と願っております。
今から25年前、私は日本の文化庁から初めての在外研修員として中国に派遣留学されました。その研修の締めくくりとして、西安からシルクロードを辿り、西の辺境までひとりで数か月の旅にでました。旅にでるまで、私の年来のモチーフは「アジアのひとのかたち」であり、おもに女性の姿や群像を描いていました。西の果てのカシュガルという小さな街はずれで、私が出会ったのは、西域の美女ならぬ「老いゆくひとびと」のかたちでした。砂風の中で悠然として憩っている老いた人の姿に、なんとも美しい残照の輝きのようなものを感じたのです。数千年にわたる中央アジアの民族の興亡のなかで、営々と命を継がれてきた人々が、砂と風の中で生き、そして老木のように自然に朽ちていく素朴なすがた。自然のままに自在に風のように生き、穏やかに老いていくひとに思わず「巡礼」ということばが浮かびました。そして自分も悠久の時間の巡礼なのだと。
この旅をきっかけに、西域の老人は私のモチーフに新たに加わり、シルクロードへの旅はその後もつづいています。巡礼の中でも美しい巡礼に会いに行くために。