今月の言葉(2019年9

※「今月の言葉」は、山門(A)と通用門(B)の各掲示板に毎月初めに掲示します。
   (山門脇の「言葉」は、真宗教団連合発行の「法語カレンダー」より)
※恥ずかしながら、住職が揮毫した「言葉」を掲示しています。
※2019年1月より、A3用紙に仏教に関する内容を簡単にまとめ、「A3仏教」と名付  けて上記掲示板に掲示することにしました。若干手を加える場合がありますが、ここにも掲げることにします。



今月の言葉(A)

「わがこころよければ往生すべしとおもうべからず」 
                                              (親鸞聖人御消息より)


現代語訳 

自らの心が善いから、往生することができるはずだと思ってはなりません。

(原文より前後を引用)
・・・「他力においては義のないことをもって根本の法義とする」と、法然上人は仰せになりました。「義」というのは、はからうという言葉です。行者のはからいは自力ですから、「義」というのです。他力とは、本願を疑いなく信じることで間違いなく往生が定まるのですから、まったく「義」はないというのです。

ですから、この身が悪いから、阿弥陀仏が迎え取ってくださるはずがないと思ってはなりません。凡夫はもとより煩悩を身にそなえているのですから、自分は悪いものであると知るべきです。また、自らの心が善いから、往生することができるはずだと思ってはなりません。自力のはからいでは、浄土に生れることはできないのです。

※法然上人・・・浄土宗の開祖(1133~1212 美作現在の岡山県に生まれる)。親鸞聖人は法然上人に出遇い、その教えを聞いて専修念仏の仏門に帰した。

※専修念仏[せんじゅねんぶつ]・・・専ら称名念仏を修すること。称名念仏は一般には仏や菩薩の名号(名前)を称えることだが、浄土教では特に阿弥陀仏の名号(南無阿弥陀仏)を称えることをいう。親鸞聖人は、称名とは本願にはたらきが衆生の口に現われ出てきたものであることを明らかにした。

※御消息・・・手紙や手紙の形式をとった法語などをいう。親鸞聖人の御消息は43通が知られている。


今月の言葉(B)

「仏法を聞くとは
        ありがたい話を聞くのではなく
                ありがたい事実にめざめること
                                              (真宗僧侶 佐々木蓮麿師

毎年当寺では春の永代経法要と秋の報恩講法要で、講師をお迎えして法話をいただいております。(お話の全ては後日、『ぎんなん文集』に収録してご門徒方に配布)

2016年の報恩講法要ではご講師の渡辺悌爾先生がこういうお話をしてくださいました。

私たちが人のいのちをいただくということは、一億円の宝くじに連続して百万回当たるようなものだ。

村上和雄という遺伝子のDNAを解明した先生の言葉だそうです。さらに、

ニワトリさん ごめんなさいと謝(あやま)って 保育園児の孫卵取る

という短歌を紹介してくださいました。あるところでの入選作だそうです。
いずれも「なぜ、いのちが尊いのか?」というテーマでのお話しでした。

※佐々木蓮麿ハスマロ・・・滋賀県生まれ、1896~1978。真宗大谷派(東本願寺)僧侶。


 《法事の会食》 …「A3仏教」2019.9

ご法事とは亡き人を偲び、亡き人をご縁にして、私自身がお念仏(一般的には仏様の教え)に遇わせていただく喜びの場です。だから、読経が飲食の前置きであるというのは「?」ですね。

でも、法事の意義さえ見失わなかったら、家族・親族が久しぶりに集合しての楽しい会食(ご法事後の食事をお斎ときと呼びます)は、亡くなった方を中心とした生命のつながりを実感でき、「みんな仲良く、力を合わせて暮らしてくれよ」と願っていてくださるご先祖の意に叶うはずです。


ですから、会食自体も実はご法事での重要な意味を持つものと思います。同時に、その食べ物になってくださった尊い生命に感謝する場にしたいものです。