今月の言葉(2019年11

※「今月の言葉」は、山門(A)と通用門(B)の各掲示板に毎月初めに掲示します。
   (山門脇の「言葉」は、真宗教団連合発行の「法語カレンダー」より)
※恥ずかしながら、住職が揮毫した「言葉」を掲示しています。
※2019年1月より、A3用紙に仏教に関する内容を簡単にまとめ、「A3仏教」と名付けて上記掲示板に掲示することにしました。若干手を加える場合がありますが、ここにも掲げることにします。



今月の言葉(A)

「真の知識にあうことは かたきがなかになおかたし」 
                                  (親鸞聖人作『高僧和讃』より)


現代語訳

先ずは原文の該当箇所全文を


真の知識にあふことは
 かたきがなかになほかたし
 流転輪廻のきはなきは
 疑情のさはりにしくぞなき


つづいて全文の現代語訳

真実の善知識に出会うのは、難しいことの中でも特に難しい。世界を果てしなく生まれ変わり死に変わり続けるのは、まさしく本願を疑うというさまたげによるのである。

※知識・・・友人・知人の意。特に善知識を指す場合もある。

※善知識・・・悪知識に対する語。善き友。仏教の道理を説いて、仏道に縁を結ばせる人。善親友・善友・親友・勝友ともいう。

※高僧和讃・・・『浄土和讃』『正像末和讃』とともに三帖和讃の一つ。親鸞聖人が晩年に和語で平易に浄土真宗の教えを歌で表された。



今月の言葉(B)

「私たちは、いつどのように死ぬかを選ぶことはできないが、
  どのように生きるかを選ぶことはできる」
                                                  (歌手 ジョーン・バエズ師


ジョーン・バエズ、懐かしいですね。今でも現役で活躍しているはずですが、 つい私たちはかつての「ドナ・ドナ」(実はユダヤ歌謡。確か今は音楽の教科書に載っていたような)や「勝利を我らに」などを思い出してしまいます。日本の多くのフォーク歌手のお手本でした。そして、真直ぐな歌唱と美しい声が印象的です。

最近、彼女のこの言葉を知ったので、ご紹介します。公民権運動や反戦運動に歌うことだけでなく、主体的に関わってきた彼女らしい言葉です。反戦歌など多くの社会的内容を伴った歌を歌っていることはご存知でしょう。

彼女と宗教との関わりは知りませんが、彼女の一家はクエーカー教徒(キリスト教プロテスタントの一派)だそうです。物理学者の父親は軍需産業への協力を拒否したというのですが、そういう家庭に育ったことが上記の活動に通じるのだと思います。

さて、私たちは常に死と隣り合わせであり死の縁無量ですが、その瞬間を予知したり死に方を選択することはできません。せいぜいが死を迎える場所を自宅か病院かという選択がありますが、それも実際にはなかなか難しいです。彼女の言う通りだと思います。

しかし、彼女は生き方は選択できると言います。
しばしば「寿命は生まれた時からきまっている」「人には運命という定めがある」という人がいますが、仏教は「無常」「無我」と認識し、すべてが縁起によっており、直接の原因や間接の原因によるあれこれの関連性によって成り立っているという立場です。よって、自分が望む通りの生き方はできませんが、その都度選択する場面があれば選択し、人生の方向性は自ら定めることはできます。ただし、その選択が欲望に沿ったものか、家族や社会の中で生かされている(ご縁によって生かされている)私の正しい方向性に沿ったものかは慎重に考える必要があるように思います。

※ジョーン・バエズ・・・ご存知フォークの女王。アメリカ、1941生まれ。公民権運動や反戦活動にも参加した。



「A3仏教」・・・お休みします

11月は真宗寺院において1年で最も重要な法要である「報恩講法要」の月です。
当寺は11月23日にお勤めします。掲示板にはそのご案内を掲示しますので、今月は「A3仏教」をお休みします。